ふたりはいい勝負―ショヴォー氏とルノー君のお話集5

絵本 ふたりはいい勝負―ショヴォー氏とルノー君のお話集5

絵本 ふたりはいい勝負―ショヴォー氏とルノー君のお話集5の表紙です

絵本 ふたりはいい勝負―ショヴォー氏とルノー君のお話集5
◆年齢◆
読んであげるなら6才以上から。
自分で読むなら小学校中学年以上

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


レオポルド・ショヴォー作 出口裕弘訳  

初版年月日:2003年10月 福音館書店

ISBN:4834006476  ISBN13:9784834006476

ページ 17x1cm 定価788円(税込)

通常版はこちら!  定価788円(税込)
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ショヴォー氏が息子ルノー君とともにつくりだしたお話集、底抜けのナンセンスあり、しみじみとしたお話あり、ファンタジーあり。

「三びきのカンガルー」「ぜんぜん、なににも似ていなかった動物の話」「リュクサンブール公園のノミ」「小さな、とても小さな男の話」「ふしぎな釣りびと」「シャンゼリゼ大通りのクジラ」「ほうきおばあさん」「バターさん、マカロニさん、チーズさん」「カタツムリのひっこし」など全43話。

ショヴォー氏とルノー君の関係
大体いつもこんな感じで、お話は始まります。
 『…
 「ぼく、お話をこしらえちゃった」
 「へええ」
 …
 「すっばらしいお話なんだ」
 「話してごらんよ」
 待ってましたとばかり、ルノー君は話しはじめました。
 「あるところに、カンガルーの奥さんがいました。
 おなかのふくろの底のほうに、穴があいていました」
 わたしは、話のつづきをじっとまった。
 だが、それっきりだった。…』
 (「三びきのカンガルー」の始まり部分)
あるいは、下記紹介の「ぼくの話」の始まり部分をお読み下さい、こんな感じでお話がはじまります。
息子ルノー君の、こんな話をして欲しいというところに出発があります。それは、どれも大人には思いつかないような奇想な着想です。これを受けて、ショヴォー氏は、そのようなルノー君の柔軟な発想に負けないユニークなお話の展開を考え出します。そうでないとルノー君はすぐに面白くない顔をします。ですから、どのお話の背後にも、いつも「ふたりはいい勝負」をしているライブな息づかいと、ふたりの息のあった関係が感じられます。

この時期の子どもの独特なあり方(秩序と無秩序を同時に好む)に大人はいらいらし、物理的な力をもってコントロールしようと、特に父親は力が入ってしまうのですが、ショヴォー氏はこの点が違っています。もちろんそんな場面もいくつかあり、隠してはいませんが、それでもショヴォー氏は底抜けのナンセンスやとんでもないファンタジー、つまり「言葉」によって、ルノー君に正面から対等に向き合っています。おそらく、ショヴォー氏はそのほうが自分でも楽しいし、「力」があることをルノー君に教えられたものと思われます。
実際このお話シリーズは、「子どもと上手に付き合う法」といった側面をもっています。そして、子どもにとっては、あちこちにちょっとした〈毒=人間の本質的なもの〉が仕掛けられており、それがトゲとなって、大人になってもずっと気にかかり、忘れられない本になるようです。(これは2003年出版の文庫版ですが、初版は1980年代後半に翻訳出版されており、最初にこのシリーズと出会った子どもたちは立派な大人になっています)





内容紹介です

ぼくの話(92〜100ページまで)
『ルノー君が、けさ、はれやかな声で、こういった。
「きょうはね、パパに、ぼくのお話をしてもらいたいんだ」
「え? なに? おまえの話?」
「そうだよ。ぼくの身のうえに、おこったかもしれないお話さ。ぼくだけの身のうえにね」
「お話に登場するのが、おまえひとりだけじゃ、たいしておもしろいことは、おこりそうもないよ」
「なにも、そんなにたくさん、事件がおこらなくたっていいんだ」

「…パパはね、そんなこと、おもいださなくたっていいんだよ。こしらえればいいんだ」

ちょっと考えこんでから、わたしはいった。
「いい考えが、うかんできたぞ。ぼんやりとだけどな」
「パパは、やる気さえ出せば、いつだって、いい考えがうかぶんだよ」
「ただ、ちょっと、まずいことがあるんだ。おまえはね、病気になるんだよ」
「お話を作るためなら、ぼく、病気になったっていいよ。でも、どこがわるくなるの」
「病名はわからない。まだ、お医者さんが来てないんだ」
「じき、来るの」
「お待ちしてるところさ」
そこで、わたしは口をつぐんだ…
「来たよ」だしぬけにルノー君がさけんだ。「だれか、階段を上がってくる」
「ここのうちに来るんじゃないようだよ」
「うちへ来るんだってば。見ててごらん」
ほんとうだった、ベルが鳴った。ルノー君が走っていって、ドアをあけた。
うれしそうな声が入りまじり、キスをかわす気配がし、わたしの古くからの友人で、お医者さんの、ベルナール先生の声が聞こえた。

「そのへんまで来たものでね。ちょっと、ごきげんうかがい」
「いいところへ来てくれた。このぼうず、かげんがわるいんだ」
「寝てなきゃ、だめじゃないか」
「急に、おかしくなったんだよ。…」
「どこがわるいんだね」
ここで、ルノー君が返事をした。
「どこも」

ベルナール先生は、ルノー君のおなかをずっとさわってみた。

ルノー君が、ぷっとふきだした。そして、やったとばかり、大声でいった。
「そうなの。これはね、パパがこしらえたお話なの」
「このいたずらこぞうめ」

ルノー君はベルナール先生を送っていき、別れのキスをして、片足でぴょんぴょんやりながらもどってきた。
「あのおじさん、ほんとうの病気だと思ってんの」
わたしは、わざとまじめな顔して、いった。
「お話のなかでは、ほんとうなんだよ」
「ああ、そうだね」

「からだじゅうだ。とても、重病だったんだ」
「とっても、重病だったんだね」ものものしい口調で、ルノー君は、オウム返しにいった。
「お医者さまは、本気で来てくださったんだよ。…

「あのさ、これ、ただのお話なんだよね」
「どうだか、わからなくなってきたぞ」
みるみる、泣きそうな顔になって、ルノー君はさけんだ。
「お話だよ、お話なんだよ」
…(以下略)





読み聞かせのポイント

お父さんが読んであげる本に推薦したい本ですね。
一編一編が独立しているお話があり、続きのお話もあります。
何編かづつ読んであげればいいですね。
ショヴォー氏とルノー君の親子関係から、この本の読み手聞き手の関係も見えてくることでしょう。

絵本 ふたりはいい勝負―ショヴォー氏とルノー君のお話集5
◆年齢◆
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◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


レオポルド・ショヴォー作 出口裕弘訳  

初版年月日:2003年10月 福音館書店

ISBN:4834006476  ISBN13:9784834006476

ページ 17x1cm 定価788円(税込)

通常版はこちら!  定価788円(税込)
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「きつねのルナール」 山脇百合子訳・絵
「文庫版 ショヴォー氏とルノー君のお話集」 レオポルド・ショヴォー 作 出口裕弘 訳
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「2 子どもを食べる大きな木の話」
「3 名医ポポタムの話」
「4 いっすんぼうしの話」

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「内的体験 無神学大全」 ジョルジュ・バタイユ/著 平凡社
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「生誕の災厄」 E.M.シオラン 著 紀伊国屋書店
「街の果て 出口裕弘全短篇集」 深夜叢書社

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