絵本 おじいさんならできる

絵本 おじいさんならできる

絵本 おじいさんならできるの表紙です

絵本 おじいさんならできる
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆まいにち絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本



フィービ・ギルマン 作・絵 芦田ルリ 訳 福音館書店

初版年月日:1998年06月20日 ISBNコード:4-8340-1527-0

32ページ 30X23cm 定価1365円(本体1300円+税65円)


通常版はこちら!  定価1365円(本体1300円+税65円)

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このような絵本こそ、絵本独自の世界です。

登場人物やものの、どこに視点を当てて見ても、それぞれに「物語」があります。
ヨゼフの成長物語、おじいさんと孫物語、ヨゼフの家族の物語、おばあさん、お父さん、お母さんのお話、ネズミの家族の物語、などなど。さらに、「布の一生」という物語でもあります。
それぞれの「物語」は、まるで布が織られるように、縦糸横糸とその色が絡み合っています。
たとえば、ネズミ家族の物語は、おじいさんの家の床下で展開されますが、その家族の物語は、ヨゼフの成長と切り離すことはできません。若いネズミ夫婦がここに住もうと決めたのは、かしこい選択でした。なぜなら、おじいさんは仕立屋ですから、その床下には布の切れ端が常に供給されます。とりわけ、ヨゼフの布は、ブランケットから、ジャケット、ベスト、ネクタイへと、再生されるたびに、小さくなっていくわけですから、布の切れ端はたくさんになります。ネズミ夫婦はその切れ端を上手に使って、部屋をどんどん立派にしていきます。ネズミ夫婦はそれによって、家族をどんどん増やすことができたのです。
他の「物語」は絵本紹介を参考にしていただくとして、ここではその「布の一生」をもう少し見ていきます。
まず、見返し全体が、ヨゼフのブランケットやジャケットになった布です。宇宙のような青地に、星がいっぱいまたたいています。
最初のページ、おじいさんが青い布を、うれしそうに縫っています。孫をまちながらか、あるいは孫が生まれたので、ぐっすり眠れるように願いをこめて縫っていたのです。だから、2ページ目では、ゆりかごに赤ちゃんが寝ていて、ブランケットが掛かっています。おじいさんの意をうけた布はそっと赤ちゃんをつつみ、赤ちゃんは幸せそうに眠っています。
3ページ目、古くなったブランケットを、お母さんが捨てようとすると、ヨゼフはだいて離しません。みなさんもこの経験はあるのではないでしょうか。
赤ちゃんのときから使っていた毛布やタオルケットは、それをもっているだけで、子どもは安心しますね。それがないと寝ない子もいるはずです。
1枚目の画像をご覧下さい。
(この画面で、ヨゼフとおじいさんの家が二階建て(三階建て?)であることがわかりますね。一階はおじいさんの家。おじいさんは仕立屋さん。二階はヨゼフの家。お父さんは靴屋さんであることが分かります)
「おじいちゃんなら きっと なんとかしてくれるよ」とヨゼフは、おじいさんの所へ布を持ち込みました。
おじいさんが「ふうむ、どれどれ」と言っている場面です。おじいさんはさすが仕立屋のプロですね。その布からどんなものが再生できるか、すぐに、「はさみで ちょき ちょき ちょき、はりで ちく ちく すーいと ぬって」「ちょうどいいものができるぞー」と言います。
こうして、布は古くなるたびに、再生を繰り返します。このような布の再利用は、昔の人は当たり前でした。日本でも着物の一生の最後は、座布団であったりしましたね。
ヨゼフは再生された、ジャケット、ベスト、ネクタイ、ハンカチ、ボタンを身につけるたびに、誇らしい気持ちになります。
小さくなって、ボタンになった布は、ある日ちぎれて(たぶんヨゼフの成長を表しています)、なくなってしまいます。ヨゼフもたいへん落ち込みますが、おじいさんも「…きっと なんとかしてくれるよ」と、もう言ってもらえないので悲しみます。ヨゼフはおじいさんの悲しみを知っていました。
(これこそヨゼフの成長です!)
それでヨゼフはおじいさんが布を縫うのと同じように、「紙に、すらすら すいすい、すらすら すーいとペン」を走らせます。
ところで、ボタンに使われた「布の一生」は、これで終わりではありません。ネズミ家族に拾われたボタンは、さらにそこで、新たな役割を与えられることになるのです。
この絵本は、何種類もの物語が語られていますが、それらすべてを解説していると、まだ何倍も必要です。
最後にひとつだけ、主人公ヨゼフの家族物語に触れなければなりませんね。ヨゼフには妹が生まれます。この妹は、ヨゼフがボタンを吹き飛ばすほど大きくなった頃には、立派に自己主張をするようになっています。ヨゼフが落ち込んでいるときには、大事な人形をあげようとさえします。しかし、ちょうどヨゼフがブランケットを手放さなかったように、この妹もブランケットをいつも大事に抱えていて、左手では人形をあげようとしますが、右手ではブランケットを隠すように持っています。妹も今後「おじいさんならできる」といい続けるのでしょうか。
さて、子どもは親やおじいさんのもつ大事なところをちゃんと受け継いで、それを発展させながら生きていきます。おじいさんの子ども、お父さんは仕立屋にはなりませんでした。靴屋になったお父さんは、確かにおじいさんを受け継いでいます。おじいさんの大事なところとは、手先の器用さですね。お父さんはその器用さを受け継いで靴を縫う仕事につきました。ヨゼフは何を受け継ぐのでしょう。おじいさんは手品のように、ひとつの布から新しい物を再生させていきます。たぶんヨゼフは「作家」になるはずですよ。なぜなら、「ふうむ、どれどれ」「すら すら すい すい」を受け継いでいます。
それにヨゼフは、この絵本「ぼくとおじいさんの この素敵なお話」を書いた当の本人なのですからね。



内容紹介です

(注) この絵本は、同時に二つのお話が進行していきます。
**印のところは、もう一つの、ネズミ夫婦とその子どもたちのお話です。この二つ目のお話には、いっさい文章がありません。各場面の絵を読んでいくしかありませんので、この紹介では私が読んだ絵を文章にして添えています。
ヨゼフがあかちゃんのとき、おじいさんがすてきなブランケットを縫ってくれました。
**若いネズミ夫婦は、自分たちの住む部屋を見つけました。それはおじいさんの家の床下でした。
『ーきもちよく ぐっすり ねむれますように、こわい ゆめなんかみませんように、と ねがいを こめて』
けれども、ヨゼフがだんだん大きくなると、ブランケットは古くなっていきました。
少し大きくなったヨゼフは、ブランケットを持っていればいつでも安心でした。
ある日、「あらあら、…こんなに汚れて破れて、すっかり古くなったね。もう捨てましょう」とお母さんが言いました。
**ネズミ夫婦は、大掃除を始めました。そこはおじいさんの家の床下ですから、ちょうどいい布の切れ端がたくさん落ちていました。
「おじいさんなら きっと なんとかしてくれるよ」
ヨゼフは言いました。
「ふうむ、どれどれ」「ちょうどいいものができるぞー」
そういいながら、おじいさんは、はさみでチョキチョキ、針でちくちく すーいすいと縫っていきました。

「おじいちゃんなら きっと なんとかしてくれるよ」

**ネズミ夫婦には三人の赤ちゃんが生まれました。ゆりかごに寝る赤ちゃんには、すてきなブランケットが掛けられています。
出来たのは、素敵なジャケット!!
さっそく、ヨゼフは外へ遊びにいきました。
けれども、ヨゼフはだんだん大きくなります。ジャケットはだんんだん古くなっていきました。
ある日、お母さんはいいました。
「こんなに短く小さくなって、ちっともあわないわ。もう捨てましょうね!」
**ネズミ一家は散歩にいったり、子どもたちは手伝いをしたり、生活を楽しんでします。家族が着ている服はみんな手作りです。そしてその服地はすべて、あのヨゼフのブランケットの切れ端なのです。
「おじいちゃんなら きっと なんとかしてくれるよ」
「ふうむ、どれどれ」「ちょうどいいものができるぞー」
**ネズミの家はだんだん立派になってきました。ベッドルーム、納屋、リビングやテーブルもしつらえました。
それで出来たのは、素敵なベスト!
さっそく学校へ着ていくと、クラスのみんなも先生も、驚きの声をあげました。
けれども、ヨゼフはだんだんおおきくなります。ベストはだんだん古くなってきました。
ヨゼフの家族はもう一人増えそうですね。お父さんはもう赤ちゃん靴、おばあちゃんはセーターを編んでいます。
**ネズミ学校もあるのですね。ネズミの子どもたちはもう5人。上の3人は学校へ行き始めました。ネズミ一家はピクニックにも行きます。きょうはチーズやハムなど、いっぱいお弁当を持ってきました。子どもたちはなわ跳び、ボール投げをして遊んでいます。
ある日、お母さんがいいました。
「ヨゼフ、あなたのベストをみてごらん。のりがベトベト、絵の具のしみ。もう捨てましょうね!」
「おじいちゃんなら きっと なんとかしてくれるよ」
「ふうむ、どれどれ」
こうして、ブランケット布地は、次にはネクタイになり、ハンカチになり、ボタンになりました。
**ネズミの家族はもう10人家族になっています。どんなに増えても布地がたりないことは決してありませんね。それどころか、テーブルクロスもカーテンもベッドカバーも、ヨゼフの布で作られました。

「ヨゼフは いっしょうけんめい あっちこっち さがしました。でも…」

ある日、サスペンダーのボタンがないのに気がつきました。いくら探しても見つかりません。
「ヨゼフ!ちょっと ききなさい」
「いくら おじいさんさんだって、なにもかも なくなってしまっては、なにもできないわ」とお母さんがいいました。
「ざんねんだけど、お母さんのいうとおり」
おじいさんはさびしそうに、首をふりました。
ヨゼフはすっかり、しょげていましたが、明くる日学校へ行くと、「ふうむ、どれどれ」。
ヨゼフは、おじいさんと同じようにいいながら、紙に、すらすらすいすい、すらすらすーいとペンを走らせました。
「ちょうど いいものが できるんだー」
さて、何ができたででしょうか?
ところで、ヨゼフの大事なボタンは、どこにいったと思います?
ある日、ネズミの子どもたちが遊んでいると、青くて丸い光るものを見つけました。家に持ち帰ると、お父さんネズミは何かをこしらえ始めました。その光るものは何になったと思いますか。







読み聞かせのポイント
この絵本は、いくつものお話が同時進行していきます。文章では主人公ヨゼフののことだけが物語られます。その他のお話は、絵のなかだけで語られます。特にネズミ家族のお話は、明確なストーリーを持っています。集団読み聞かせでは、それらは見えにくいですから、終わったあと、もう一度ページごといちいちたどっていったほうがいいですね。とにかく絵を隅々まで読んでいきましょう。

絵本 おじいさんならできる
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
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◆シチュエーション◆
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32ページ 30X23cm 定価1365円(本体1300円+税65円)


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