絵本 おかえし

絵本 おかえし

絵本 おかえしの表紙です

絵本 おかえし
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本



村山桂子 作:織茂恭子 絵 福音館書店

初版年月日:*1989年09月25日日 ISBNコード:4-8340-0482-1

32ページ 20X27cm 定価840円(本体800円+税40円)


通常版はこちら!  定価840円(本体800円+税40円)

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この絵本は対比がみどころです。

この「おかえし」大そうどう絵本は、これ以上ないナンセンス絵本です。
なにしろ、家の他はすっかりいれかわってしまいます。
ですから、「家中いれかわってしまった、ひっこしとおんなじだ。ワハハ」で終わってもいっこうにかまわないですね。
でも年長さん位になると、やはりひっかかりができ、これは一体なんだろうと頭の隅に残る絵本です。
では、「おかえしの、おかえしの、おかえしの…」の間に何が起こっているか表紙から見ていきましょう。

きつねの奥さんと たぬきの奥さんが いちごを摘んでいます。

ここは高原なのでしょうか。
きつねとたぬき家族が、つんだいちごをなかよく食べています。
見返しには、青色と赤色屋根家が二軒。赤屋根の方には荷車があります。

たぬきの奥さんは うちにあるものなにもかもを きつねのうちへ持っていきました。

青屋根の家はたぬきとぼうや、赤屋根はきつねとぼうやが住んでいるようです。左右に、それぞれの家の中が描かれています。
たぬきの家の時計は11時を指し、おちゃを飲んでいます。朝はたけのこ掘りにいってきたのでしょうね。
右ページでは引っ越してきたきつねのおくさんが、いちごを持って、たぬき家へ向かうところです。引っ越しの挨拶です。
たくさんいちごをいただいたのだからと、たぬきおくさんは竹の子を「おかえし」に持っていきました。たぬきぼうやはいちごを次々たべています。
11時半になりました。
たぬきおくさんとぼうやはまだいちごを食べています。そこへ、きつねおくさんが、竹の子のおかえしに花と花びんをもってきました。
たぬきのおかえしは絵とつぼです。きつねの家では、もらった竹の子を「りっぱだ」ほめている最中です。たぬきおくさんは花をかざってごきげんなようす。
きつねおくさんは、絵とつぼのお礼に、クッションと椅子をもっていくところです。きつねぼうやはおかあさんがでかけるときは必ず見送るようです。
こうして家中ののものがそっくり入れ代わります。
移動途中にたぬきおくさんの家の時計は1時15分で、とまってしまいました。たぬきぼうやはずっといちごを食べて続けています。
おかえしをもっていくたびに、「よろこんでもらえて よかったわ」とうれしくなって、きつねもたぬきおくさんも帰ってきます。だからもらうたびに、つぎつぎ考えてしまいます。
しまいにはぼうやも自分自身でさえもおかえしに使ってしまいます。
さすがにぼうやたちは他人の家では淋しそうです。でもおかあさん自身が「おかえし」にきたものですから、ぼうやたちもほっとして、うれしそうです。
もうなにももっていくものがありません。
それで、森へいちごをつみにいくと…。
考えていることは同じでした。きつねとたぬき家族はなかよくいちごをつみました。表紙と裏表紙はこの場面です。そしていつもの楽しい晩ご飯となりました。直った時計をみると、7時半を指しています。
よく考えてみると、たった7、8時間内に起こっていますので、大そうどうのように見えますが、これを何年間としてみるなら、こういうことはありうることですね。
子どもの世界では、重要な場面、たとえば友だちになるときなどは、贈り物が大きな役割をはたします。
子どもたちがなかよくなったときに、よくやる「とりかえっこ」の場合にも、自分の一部である「こころ」が、物といっしょに相手のところについていきます。
相手の一部を持つことによって、「いつもいっしょ」を確認するのでしょう。
また子どもの世界での、贈り物の場合には、思いや「こころ」は一方的なもので、もともと「とりかえっこー交換」は期待されていません。
贈る側の子どもは相手のことを一生懸命考え想像します。「なにを贈れば喜んでもらえるか・なにを贈れば私だとおもってもらえるか」と。
だから贈られる物はほとんどその贈る子自身といってもいいでしょう。だからその「もの」は単なるものではありません。
贈り物に対して「返礼」は、贈る子からは期待されていない(自分自身をわかってくれたらそれでいい)、にもかかわらず「おかえし」ということがおこるのは、「もの」に相手の思いや魂(こころ)が入っているからです。
贈られた「もの」が「あなたのところへやってきましたよ」「どうです、うれしいですか」というのです。
そう云われれば、もらった子どもは「はい、とても」と云いますね。ですから子どもは「もの」や「会話」を介した、ともだち関係を作っていくなかで「うれしさ」を必ず「おかえし」していきます。
このとき、子どもの世界では「もの」と「会話」との区別はいっさいないのです。
子どもの世界では、会話ーことばは多くの場合、簡素なものです。しかしだからといって、思いやこころが簡素なはずはなく、むしろ「もの」の方が多くを語ってくれるというわけですね。
この絵本なかで云えば、子どもや本人さえも贈り物になってしまいました。「おかえし」大そうどうがあって、そっくり家中のものが入れ代わったのに、表面的にはなにごともなかったように一日が終わろうとしています。
でも、このたぬきときつねの家族は、すべてを相手に贈るくらいに、その関係が濃密になったのですね。



内容紹介です

きつねの奥さんと たぬきの奥さんが いちごを摘んでいます。

ある日、たぬきのいえの隣へ、きつねが引っ越してきました。きつねの奥さんがいちごを持って、たぬきの奥さんのところへあいつに来ました。
「となりへ越してきたきつねです。よろしくお願いします。これは、ほんのつまらないものですが……」
この「おかえし」大そうどうはこうして始まりました。そのとき、午前11時。
「これはこれは、ごていねいに……」
たぬきの奥さんは、喜んでいちごを受け取りました。
「まあなんて おいしそうな いちごでしょう。おまけに、こんなにたくさん……」
と、はなをひくひくさせました。
「それじゃ、わたしも、なにか おかえししなくっちゃ……。そうだ。ほりたての たけのこが あったわ」
「さきほどは、ありがとうございました。これはほんの つまらないものですが、いただいた いちごの おかえしです」
きつねの奥さんも喜んでたけのこをけとりました。
ところが、しばらくすると、また、きつねの奥さんがやってきて、
「先ほどは、けっこうなものを……。おかえしのおかえしです」
と、花と花瓶を置いていきました。たぬきの奥さんは「おかえし しなくっちゃ……」と、考えて、絵とつぼを持って、きつねの家へ行きました。
「先ほどは、けっこうなものを……。おかえしの おかえしの おかえしです」
きつねの奥さんは、喜んで絵とつぼを受け取りました。
きつね奥さんのおかえし。たぬきの奥さんのおえし。その繰り返しです。
「ああ、もう めんどうだ。うちにあるもの なにもかも、みーんな もっていきましょう」
たぬきのおくさんは、うちにあるものなにもかもを、くるまにのせて、よいこらしょ、よいこらしょと、きつねのうちへいきました。

たぬきの奥さんは うちにあるものなにもかもを きつねのうちへ持っていきました。

ところが、しばらくすると、また、きつねの奥さんが、きつねの家にあった何もかもを持ってやってきました。

きつねの奥さんは うちにあるものなにもかもを たぬきのうちへ持っていきました。

たぬきの奥さんは、喜んで受け取りました。
でも、これでとどまるものではありません。「おかえし」は必ず必要ですから。
そうしてついに、「もういただいたものばかりで、あげるものが ありりゃしない……。どうしましょう」
「そうだ。それじゃ、しかたがないわ」
たぬきの おくさんは、そういうと、そばにいた たぬきの ぼうやを つれて、きつねの うちへ いきました。
「つまらないものですが……」
きつねの奥さんもきつねのぼうやをおいていきます。
それではとおかえしを考えますが、もういただいたものばかりで、やっぱりおかえしするものがありません。
そこで、たぬきの おくさんは、「それじゃ、こんどは、わたしを、おかえしに するしかない」と、きつねのうちへいきました。
そこできつねの奥さんは、「それじゃ、こんどは、この わたしが、おかえしに なるより しかたがないわ」と、たぬきの家へ行きました。
「つまらいものですが、おかえしの おかえしの おかえしの おかえしの おかえしの おかえしの おかえしの おかえしの …おかえしです」
けれど誰も答えません。
「あーら、いやだ。ここはまるで、わたしの うちと おなじだわ」
「わたしの あげたものがぜーんぶ あって、おまけに、うちの ぼうやが ちゃーんと いて……。なあんだ。それじゃ、こんどは、わたしたちこの うちへ こしきたっていうわけだわ。それじゃ、また、ひっこしの あいさつに いかなくちゃ。でも、なにを もっていこうかしら。うちに あるものはもう、みんなもっていったものばかりだし……。えーと、えーと、なにが いいかしら……」
きつねの奥さんは考えました。きつね奥さんとぼうやは、いちごを摘んでおかえしにしようと森へ行きました。
ところが、森へ行ってみると、なんと、たぬきのおくさんが、ぼうやといちご摘みをしていました。
「まあたぬきの おくさんも いちごつみですか」
「ええ、わたし、あたらしいえへ こしたでしょ。ですから、いちごを つんで、おたくへ あいさつに いこうと おもって」
「あら、まあ、じつは、わたしも そうなんです」
「まあ、それは それは…、それじゃ、いっしょに つみましょう」
そこで、みんなは、なかよくいっしょに、いちごをつんでたべ、家へかえりました。
こうして、「おかえし」大そうどうは終わり、夜の7時半ごろ、いつもと同じように、晩ご飯を食べました。







読み聞かせのポイント
この絵本はもう「おかえしの おかえしの おかえしの…おかえしです」とひたすら読んであげるしかありませんね。
「おかえしの」の、トーンがだんだん高くなってくるでしょう。
子どもたちも、「おかえしの…」と読んでいるとみんなで唱和してくれます。

絵本 おかえし
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本


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32ページ 20X27cm 定価840円(本体800円+税40円)


通常版はこちら!  定価840円(本体800円+税40円)

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