しょうとのおにたいじ

絵本 しょうとのおにたいじ

絵本 しょうとのおにたいじの表紙です

絵本 しょうとのおにたいじ
◆年齢◆
読んであげるなら4〜5才から。
自分で読むなら小学校低学年向き

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


稲田和子再話 /川端健生画

初版年月日:2010年01-06月 福音館書店

ISBN:4834024792  ISBN13:9784834024791

32ページ 27X20cm 定価840円(税込)

通常版はこちら!  定価840円(税込)
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これぞ絵本、絵本にしか出来ない「絵」を読むことの楽しさ・驚きによって、そこから立ち上がる物語を申し分なく満喫できる、日本昔ばなし絵本の傑作。

《ホオジロ(雀)の仇討ち》
「雀の仇討ち」タイプのお話(中国地方では「雀」が「ホオジロ」に変えて伝えられています)ですが、このタイプのお話は、新潟地方の「かにむかしhttp://kibiehon.net/ehon/BC56/Kanimukashi/ehon.php」、奄美大島の「カニのマーヤhttp://kibiehon.net/ehon/BC56/KaniNoMaya/ehon.php」など、昔ばなし「さるかにがっせん」タイプの話型にもつながる仇討ち話です。
※ぜひ「かにむかし」「カニのマーヤ」の解説もお読みください。
「雀の仇討ち」では、生んだ卵をやまんばに食べられてしまいますが、その仇討ちに出かけます。道中、栗・蜂・臼・カニ・縄に団子を与えて仲間にします。一行は、それぞれに持つ自分のふさわしい力(特質)を生かして相手をやっつけます。「ももたろう」にも通じますね。
この「しょうとのおにたいじ」というむかし話は、主人公《雀》がしょうと=ホオジロ、仇がやまんばではなく鬼である点が異なっています。そうした異なった点は、それぞれの地方でのなじみ深さなのでしょう。中国地方に伝わるお話だそうです。

《おじぞうさん》
この「しょうとのおにたいじ」では、おじぞうさんがどうしようもなく人のいい存在として描かれています。しょうとはおじぞうさんの耳に巣をつくり卵を産みます。親近感のあらわれでしょうが、このおじぞうさんは実に頼りがいがありません。

鬼が三回が三回とも以下のような感じで、卵を狙ってきます。
「じぞうさん じぞうさん しょうとんどんが ええ子を うみんさったそうで、おめでとう。ちょっと見せてくだされ」
「しょうとが留守だけえ みせられん」
「そういわずに ちょっと 見るだけ みせてくれえ」
「本当に見るだけか」
「本当よ」
「それじゃあ、ちょっとだけぞ」
おじぞうさんは、そのつど反省はしますが、頼まれるとつい卵をみせてしまうのです。それで卵を三つとも食べられてしまいます。
瓜子姫があまんじゃくに戸をあけさせられる場面そっくり。おじぞうさんは瓜子姫のように純真性をもつ存在なのでしょうね。しょうとはひどく嘆きますが、けっしておじぞうさんを責めたりはしません。

《絵本ならではの再話》
同じ「しょうとのおにたいじ」でもいろんな語り方があります。その語りの中で、鬼が何人でてくるかが一つのポイントとなります。耳から聞く昔ばなしでは、ひとりの鬼が出てきていっぺんに卵を食べられてしまうのでは、「食べられること」の印象が非常に薄くなってしまいます。その印象が薄ければ、仇討ちの根拠もうすくなり、お話全体も弱いものとなってしまいます。
そこで、耳から聞く昔ばなしでは、普通三回の繰り返しをするわけですが、ひとりの鬼がひとつずつ卵を食べるとして、三回なら三人の鬼が登場することになります。それで最初に産む卵は三つとなります。三回の繰り返しなのに、卵がそれ以上だったり、鬼がそれ以上・以下だったら、そこには語りをする上で工夫が必要になります。たとえば、「日本の昔話2 したきりすずめ 福音館書店」所収の「しょうとんどの鬼退治」では、五つの卵を産み、五人の鬼が五回卵を狙ってきます。五回もだまされるわけですので、おじぞうさんは底なしの人の良さが強調されることになりますし、身構えるおじぞうさんに、そのつど鬼は「あいつらいっしょにしないでくれ」とか、しまいには「おれだけ、見せてもらえないのか」と、同情を引くとも脅しともつかないことを言います。ところで、こうなると結末において、5人の鬼をしょうととその仲間はやっつけなければなりません。鬼のやかたへいく道々仲間を加えていくにしても、昔ばなしの原則「仇を完膚無きまでにやっつけること、二度と鬼は現れないようにする」というの語り方が難しくなります。それでも、それが語りだけの場合だと、五人の鬼は「ひとつのかたまり」として語ることは可能だし、臼を多数登場させることもできます。耳から聞く昔ばなしは、それぞれがどのようにどうしているかは語らないのですから、それぞれが対応してさえいればいいわけです。 ところが、絵本だとそうはいきません。絵ははっきりみえるわけですので、完膚無きまでにが納得できなければお話は終わりません。

さて、
この絵本「しょうとのおにたいじ」では、その点、見事な再話と絵が描かれました。
この絵本では、しょうとは三つの卵を産みます。その卵を狙って、赤鬼・青鬼・黒鬼がやってきます。その違いを文章でとりたてていう必要はありませんね。実はここに絵本ならではの重要な仕掛けがあったのです。結末部を見ますと、完膚無きまでに臼の下敷きになった赤鬼がシルエットで描かれています。完璧な仇討ちです。

「おには いっぺんに たいじされたげな。これも とんとん ひとむかし」

子どもたちに、このように読んで、絵本を閉じ、裏表紙を見せました。裏表紙では、木にとまったしょうとがおじぞうさんを見つめ、おじぞうさんはしょうとの方を見つめています。「よかった」とおじぞうさんは言っているのでしょうか。二人はどんな会話をしているのでしょうね。ここから先は想像にまかされます。

ところがここで、
ある時、あるひとりの子(幼児年長クラスの)がいいました。
「赤鬼・青鬼・黒鬼をもう一度見せて」
そして、その子は言いました。
「そういうことだったのか」と。

そうなんですね。これが絵本なんです。
心底納得できなければ、何回も読んでみることができるのです。
完膚無きまでにやっつけられたのは、赤鬼だけでした?? 
ここからは絵本を読んでの楽しみです。





内容紹介です

『とんとん むかしのことじゃげな。むかし、けものや ことりが まだ ものをいうとったころのこと、しょうと〈※ホオジロー中国地方の呼び名〉という かわいい ことりが おったそうな』
しょうとは、なかよしのおじぞうさんの耳に巣をつくらせてもらって、卵を三つ産み、「かわいや かわいや」と毎日だいておりました。

とんとん むかしのことじゃげな。〜

ある日、しょうとは仕事に出なければならなくなって、おじぞうさんに守りを頼みました。
「ああ よしよし いっといで」

ところが、その留守に、山から赤鬼がきてこういいました。
「じぞうさん じぞうさん しょうとんどんが ええ子を うみんさったそうで、おめでとう。ちょっと見せてくだされ」
「しょうとが留守だけえ みせられん」
「そういわずに ちょっと 見るだけ みせてくれえ」
「本当に見るだけか」
「本当よ」
「それじゃあ、ちょっとだけぞ」
それで、おじぞうさんが卵を見せると、赤鬼はつるっと飲んで、たあっと逃げていきました。

おじぞうさんが たまごを ちょっと〜

「あーあ、やられた。どうしょうか」
おじぞうさんはほろほろ泣いたけれど、しょうとはまだかえってきません。

しばらくすると、今度は青鬼が来て、卵を見せてくれといいました。
「さっきも鬼が来て大切な子を食べられたんだけえ」
「わしは しーらんぞ。そりゃ赤どんではないかいなあ」
「本当に見るだけか」
「本当よ」
「それじゃあ、ちょっとだけぞ」
そうしておじぞうさんはまた卵を見せました。
すると、青鬼はつるっと飲んで、たあっと逃げていきました。
おじぞうさんは泣いたけれどしょうとは、まだかえってきません。

それからしばらくして、今度は黒鬼がやってきて、やっぱり卵を食べられてしまいました。

そこへしょうとんどんが戻ってきました。
「おまえの子が三つとも鬼に飲まれてしもうた。すまんことだ」
それからというもの、しょうとは、歌もうたわず飛ぶこともせず泣きの涙で暮らしておりました。

ある日、どんぐりがころころっとやってきました。
どんぐりはわけを聞くと、しょうとをはげまして、鬼退治がきまりました。

こうして、鬼のやかたにむかって山道を行っていると、カニが仲間になり、くまん蜂、牛、餅つき臼、縄も仲間になりました。

そうして、鬼のやかたにつきました。
鬼は出かけていません。それで、みんなそれぞれに身を隠しました。

そこへ、
「さむい さむい」といっていろりの側で暖まろうとしました。
そのとき、……





読み聞かせのポイント

この絵本は、解説に書いたような仕掛けがひとつのポイントです。
気付かなくとも、それはそれで面白いし楽しめます。
それでも気付くまで何回も読んであげるといいでしょう。
(教えない方がより満足度はあがります)

絵本 しょうとのおにたいじ
◆年齢◆
読んであげるなら4〜5才から。
自分で読むなら小学校低学年向き

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


稲田和子再話 /川端健生画

初版年月日:2010年01-06月 福音館書店

ISBN:4834024792  ISBN13:9784834024791

32ページ 27X20cm 定価840円(税込)

通常版はこちら!  定価840円(税込)
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「宇治拾遺ものがたり」 川端 善明 岩波少年文庫
「川端健生作品集 黄昏変相1944−95」 芸艸堂

※1969年京都市立芸術大学日本画専攻科を修了。同年新制作展(現、創画会)新作家賞を受ける。1976年の創画会賞。1981年創画会会員。一貫して人間を主要なテーマとし、そこに日本の土俗信仰の交流息づく生死観を込めた作品を制作する。京都画壇日本画秀作展優秀賞など。

●再話者・稲田和子関連図書
「くわずにょうぼう」 赤羽末吉/絵
「うりひめとあまんじゃく」 小西英子/絵
「かもとりごんべえ ゆかいな昔話50選」 岩波少年文庫
「子どもに語る 日本の昔話 全3巻」こぐま社
「カニのマーヤ あまみおおしまのサルカニがっせん」 三宅忠明/英訳 稲田奈保/絵
「ウバユリ」三宅忠明/英訳 稲田奈保/絵
「日本昔話百選」 稲田浩二/編著 三省堂
「日本昔話ハンドブック」 稲田浩二/編 三省堂
「炭焼長者 日本のむかし話」 太田大八/絵 童話館出版
「天人女房 日本のむかし話」 太田大八/絵 童話館出版
「あおい玉あかい玉しろい玉 日本のむかし話」 太田大八/絵 童話館出版
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「鳥取の民話 日本の民話61」 未来社
日本わらべ歌全集18岡山のわらべ歌 柳原書店

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