「どろだんご」「あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?」など、数々の名作絵本を手がけた作家、
野坂勇作氏にえほんおじさんがインタビューしてきました!
絵本作家になりたい方も必見です。

プレゼントもあります。ぜひ読んでいってください!!!
野坂さん写真 野坂勇作氏 プロフィール

1953年 島根県松江市生まれ。広島で育つ。
多摩美術大学工芸デザイン科中退後、日本海の雲や風や雪に魅せられて
佐渡島にわたり、農家に住み込みで働く。
日本エディタースクール編集科通信部終了。ロゴス編集研究センター勤務。
その後、鳥取県米子市で「ひなたぼっこ・子ども絵画創作教室」を主宰
しながら、絵本の創作活動をしている。

デビューは1985年の『ゆきまくり』
また、2000年『森をそだてる漁師の話』が小学校5年生の教科書に採用される。
一作ごとに、その文体や絵画手法を違えることから「絵本界の魔術師」 と呼ばれている。
----お久しぶりです。
「海をこえてやってきた(たくさんのふしぎ)」の取材におつきあいして以来ですから、
3年ぶりになりますか。よろしくお願いします。

◆デビュー作あれこれ
----まずは、最初の作品「ゆきまくり」あたりのお話を聞かせてもらえますか?

野坂さん(以下、敬称略) 私のデビュー作は「ゆきまくり」です。
2作目は「ふゆのあらし」です。
この2作品はスケール感のある自然を描いた、パノラミックな作風ですね。
シュレーダー(※1)の超現実的世界の影響が濃いです。

この「ゆきまくり」はもうすぐ春がくることを知らせているのです。
根雪の上に、しめった雪が降る頃に生まれます。
ふた冬取材して、ようやく「ゆきまくり」に出会いました。
ゆきまくりは西日本でもできますよ。


※1 シュレーダー
代表作は、「ラ・タ・タ・タム」「こんにちはトラクター・マスクくん」など。

「ゆきまくり」表紙


「ふゆのあらし」表紙

「日本海側の海や空や雲や雪が
ぼくを呼んでいるのです。」
◆「ふゆのあらし」の企業秘密
----冬や雪への思い入れと、それを描く苦労についてお聞かせください。

野坂 父母、そして私も山陰生まれですから、日本海人の血が脈々と流れているのだと思います。
冬の海や海岸地帯へ足を運ぶことは、場合によっては命にかかわることですが、
それを超えたワクワク感がふつふつと沸き上がってくるのを自分で押さえきれないのです。
日本海側の海や空や雲や雪がぼくを呼んでいるのです。

----「ふゆのあらし」の波の花はすごいですね。
見たことはないのに、こちらの皮膚にあたる感触まで伝わってくるような気がします。
あれはどんな手法で描いたのですか。

野坂 ん……。あれは企業秘密なんですよ。
でも、わざわざ岡山から来て下さったので、ヒントを!
石ケン、胡粉、ニカワを使っています。
ちなみに、意外かと思われるかもしれませんが、波の花はゆきまくり同様、西日本でもみられますよ。


◆「どろだんご」は、予想外の仕事だった!
----どろだんごは三作目ですね。
この作品にはどのようないきさつがあったのでしょうか。

野坂 これは予想外の仕事でした。編集者から依頼されたのです。
「どろだんご」は結果的に新しい世界を広げてくれました。
作家は編集者によって育てられるということを学びました。

この作品は「どろだんご」が主役ですが、「手」が主人公でもあるのです。
「手」だけで子どもの表情を出さねばなりません。
それはとても難しいのです。ちょっと大げさですが、
「飛び降りるような」気持ちでやりましたね。

取材も徹底してしました。

幸運だったのが、広島の「かえで幼稚園」に出会えたことです。
作品展に「どろだんご」が並んでいたのです。ふつう作品展に「どろだんご」なんてないですよね。
この幼稚園は「子どもが真ん中」の保育をしていたのが幸いでした。
奥さんの作ってくれた弁当とスモックをもって毎日通いましたね。
子どもと毎日遊べば何とか描けるだろうと思って。


◆創作活動の「原点」
野坂 子どもは「どろだんご」を作るとき、無我の境地というのでしょうか、
手元なんかみないんです。みんなで車座になって、会話をしながらやるのです。

どろだんごを作る場はコミュニケーションの場でもあるのです。
彼らは作ろうとはしていない。泥に身を任せているようです。
まさに「たましい(魂)の移動」ですね。

でも、そうやって全精力をそそいだものを、おとしっこやころがしっこをして、
平気で壊してしまうのです。そしてまた作り始めます。

これは新たな創作のステップではないかと思いました。

それから彼らは、制作中のどろだんごを隠すということをしますね。
この行為は一度〈忘れる〉こと、つまりよく寝かせ、発酵させることですね。
ここに創造力の原点をみたような気がしました。
子どもはやはり、あなどれないですね。
「どろだんご」表紙

「想像力の原点を、ここに見た気がします」


「あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?」表紙

「現場を踏むことによってしか、
描けないものがあるのだと思います。」
◆「あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?」について
----続いて「あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?」について教えてください。
私はこの絵本を見たときびっくりしました。
こんなことも絵本にできるのかと。実にユニークですね。
「天気観察」絵本をつくろうとした動機とその苦労をお聞かせください。

野坂 スケールの大きな自然を描きたいと思いました。
風や光や空や雲ですね。
この「あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?」のダミーをもって、
気象学者根本順吉さんにお会いしに行きました。

根本さんは「雲の気持ちがわかっていない」「大山(鳥取県・だいせん)へいけ!」とおっしゃいました。
それがきっかけで広島市から鳥取県米子に移住することになったのですが。


◆創作の秘訣は、「現場」にあり!
----それだからか、夕焼けや空や雲がなにか本当の自然よりもリアルに迫ってくる気がします。
絵本を読んでからのほうが、より自然を感じます。
たとえば夕焼けと朝焼けとでは違いますね。
その違いを少し詳しく教えていただけませんか。


野坂 まずそれらの現象のでる方向が違います。

夕焼けは日が沈む西の空。
朝焼けは日が昇る東の空。

それから大事なことは天気というものは基本的に西から東へと移り変わるものですから、
夕焼けがでるということは、西の方から晴れが近づいている証拠なのです。
逆に朝焼けが出るのは、西の方から雲が広がってきている証拠です。

ぼくはフィールド(現場)が好きです。とにかく取材をします。
その姿勢は最初の作品から一貫しています。
現場を踏むことによってしか、描けないものがあるのだと思います。


◆絵本1冊にかかる時間は、10年?!
----しかしこうしてうかがっていると、現場に通い詰めたりするわけですから、
一冊の絵本ができるまでにはずいぶん時間がかかりますね。

野坂 私は主に福音館書店の「こどものとも」「かがくのとも」で
作品を作っていますが、この場合ですと企画にパスしてから平均3年かかります。
それは出版に向けてアイデアをじっくり練るからです。

さらに作家は、企画以前に構想を寝かせ、熟成させ、発酵させる段階があります。
それらも含めると5年、10年かかる作品もあります。

----そんなにかかっていたのですね!
具体的にどの作品が何年なのでしょう?

野坂 「ふゆのあらし(かがくのとも)」が6年、
「にゅうどうぐも(かがくのとも)」が7年、
「かにのニカ(年中版こどものとも)が10年
といったところでしょうか。

----1作品にそれだけかかったのでは、食べていけないですね?

野坂 だから数作品を同時進行させます。
アイデアをストックボックスに入れて置きます。
そして一度忘れるのです。
子どもたちがどろだんごを隠すように、です。

そうしたものの中に、よく寝て、発酵するものがあるのです。
それをダミーにして、企画としてプレゼンテーションするわけですね。
そこからそれを練り上げていくのです。
作品は作ろうと思ってもできるものではありませんから。

子どもたちは、絵本の絵を見事に読み込みますから怖いのです。
どんなささいな事、どんな小さな脇役でも、しっかりスケッチし、
デッサンをして、リアリティーを高めなければなりません。


◆野坂氏の最新作!
----今取りかかっている絵本について、こっそり教えていただけませんか。


野坂 現在6作品が進行中ですが、それらのうちのひとつの表紙だけお見せしましょう。
(写真掲載) 「にっこり えがおで」(仮題)といいます。


----この絵本は「ことば」の絵本ですか。
 そういえば、野坂さんの絵本はほとんど自作自演ですね。
絵のほうだけではなく、ことば・文章もリズムがあって、楽しいですね。
メディアに載るのは(たぶん)初めて!
野坂氏製作中の絵本です!!!
「にっこり えがおで」表紙

※右下になにやら書かれてますよ……?
画像をクリックしてください!


◆絵本の「ことば」
----最後に「文章」について一言お願いします。

野坂 こどもの本にとって、文章は楽譜のない音楽です。
気に入ったテンポやリズムの本に、子どもたちが「もう一回、もう一回」と言うのは、
それはぼくたちがお気に入りの曲を朝から晩まで頭の中で、あるいは口ずさみながら繰り返すのと同じなのです。


----どうも長い時間ありがとうございました。





野坂勇作氏 作品


『ふゆのあらし』
『ゆきどけみず』
『おてんきかんさつえほん−あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?』
『ぼうきれであそぼう』
『たいふう』
『どろであそぼう』
『にゅうどうぐも』
『しもばしら』(以上かがくのとも)

『どろだんご』
『おや?なにかおちてる』
『まるくなった まあるくなった』
『はるがねハンガー』(以上年少版こどものとも)

『まりになったおつきさん』
『たこのえ いかのえ』
『かにのニカ』(以上年中版こどものとも)

『森をそだてる漁師の話』
『海をこえてやってきた』(以上たくさんのふしぎ)

『ぼくの大冒険』(おおきなポケット)
『うたえブルートレイン』(金の星社)
『一筆絵ふだ  いろはかるた』(こどものとも社)
『クニさんのうたうたあそぼンゴ』(古今社)


野坂氏の最近の新作は

『なつ なつ なつ』(年少版こどものとも2003年8月号)
『つかって つかって すりへって』(おおきなポケット2003年11月号)

その他進行中作品
「そら」
「あまやどり」
「トッテさん」
「はるですよ」など。

また初の書き下ろしエッセイを執筆中。




最後にプレゼントのお知らせです。野坂氏からサイン本をいただきました!
野坂勇作氏サイン本プレゼント!
7月7日をもちまして、応募を終了させていただきました!
たくさんのご応募、ありがとうございました!


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